『胃の痛み』の施術
この投稿を書いているのが令和元年6月5日ですがここ数日『胃の痛み』を訴える方が既存の患者さまにも新規の患者さまにも増えています。
これは梅雨が近づいてきたことを意味します。
梅雨は『湿気』が多いことは皆さん、ご存知ですよね。
東洋医学では『湿邪』と呼ばれています。
この湿邪による影響を受けるのが
『脾胃土』
です。
今回、ご紹介させていただく患者さまはベットに寝るなり
お腹の上部(心窩部)を擦りながら
『先生、胃が痛くて、何も食べられないんです~。』
とおっしゃられていました。
お一人は『54歳 女性 主婦』
昨日の夜、食後から胃が『シクシク』痛み出し、朝まで寝られなかったようです。途中から背中や首が痛くなり、どうしようかと思う中で胃薬を飲んだそうですがあまり、効果がなかったとのことでした。
施術後に伺ったお話ですが昼間に趣味の手芸教室の展示会があり、エアコンの効いた部屋に長時間、滞在していたそうです。
胃の痛みを訴える方に多く見られる
『心窩部痛』
ですがこの場合、実は胃の痛みではありませんので注意が必要です。
実際の胃のある場所は
『臍の左上』
です。
心窩部付近にある臓腑は実際には
『肝臓や胆のう』
にあたります。
もちろん、腹膜の炎症や緊張状態から反射的に胃の状態が悪く、心窩部に痛みが起こることもありますので胃が問題ないわけではありませんが注意深く観察する必要があるのです。
今回の患者さまの訴えを五行分類をすると
①心窩部の痛み → 肝木・胆
②背中の痛み → 肝木・胆(圧痛と筋の緊張により)
③食後の痛み → 脾土・胃
証;脾虚肝実
取穴;大陵、太白、太衝、豊隆、温溜
(取穴は反応のみられる箇所を特に選びました。)
取穴の考え方としては
胃に痛みを訴えられていますのでそれを取り除くことが大切です。
食事の後に痛みだすことは脾土の変動とし、その後に背部や頸部の筋の過緊張が見られたことを『邪の侵入』として、捉えました。今回の主な邪は『湿・寒の邪』の影響と考えられます。
結果
心窩部の痛みも背部痛・首痛も治まりをみせてくれました。
『食欲が出てきた』と言われていましたがあまり無理に食べないように促しました。特に『油』には十分に注意することをお伝えさせていただきました。
今回のような心窩部痛は夏場によく見られるご症状ですので覚えておいていただきたい症例です。