アレルギーの中でも結構、相談が多いのが『蕁麻疹』です。
特定の抗体に反応する人もいれば、気温や時間で症状が出る方もおられます。
現代学的には特定の食べ物に反応する人も寒冷蕁麻疹などの気温の変化に反応する人もひとまとめで蕁麻疹と呼んでいます。
似たようなご症状ですが色々なタイプによってアプローチや生活習慣上の注意事項などが違いますので是非、覚えておいていただきたい症状の一つになります。
大きくは
①特定の食物に反応する蕁麻疹(経口)
②特定の物質に反応する蕁麻疹(接触)
③気温や環境に反応する蕁麻疹(適応力)「
3つに分類されます。
それぞれのタイプに共通することは
『衛気の不足』
です。
衛気は食物繊維から取り入れますがこれが少ない、もしくは吸収できない状態になります。
衛気は通常、大腸の『直腸』で吸収されるとされていますがその前に他の栄養素の吸収力が低下しているもしくは吸収できないものばかりを摂取している方の場合は通常の蕁麻疹とは違う形の皮膚炎が出ることがあります。
鑑別としては
a,表面が硬い
b,水疱がある
c,触ると肉厚である(奥が深い)
などで見分けることができます。
このような蕁麻疹が出る前には
肩こりや息苦しさ、喉のつまりなどを訴える方が多いので注意しておく必要があります。
このような吸収できない方の場合は『小腸』に異変が起こっているかもしれません。
原因としては先天的なものの他に『腸な温度の低下』『薬品や添加物の過剰摂取』『不眠』などが原因として考えられます。
次に通常の3つのタイプについての対処法をお伝えしていきます。
まず、『①特定の食物に反応する蕁麻疹』については五行の母を補うことに徹底します。
例えば、『カニを食べると蕁麻疹が出る』方の場合を考えてみましょう。
カニに含まれるアレルゲンとして有名なののが『トロポミオシン』というタンパク質と言われています。
タンパク質は体を作る構成要素ですのでカニに反応するのは異常な状態であることが解ります。
カニの身は五行の分類では『脾土』に属します。
ですので対処方法としては『心を補う』ことを治療とします。
『心に虚なし』と言われていますので実際には『心包経』と脾経を同時に補います。
症状が出ているときには『肝経』を瀉することでうっ滞を流します。具体的には『胆汁の滞りを流す』ことをしています。
これを繰り返しながら『肝のうっ滞』が取れてくれば、少しずつ、カニになれるようにすることを繰り返せば、カニへのアレルギーは見られなくなります。
次に『②接触に反応して起こった蕁麻疹』です。
これは先に示した『衛気』が少ない方に見られます。
目標としては『大腸(直腸)の環境を整える』ことが求められます。
皮膚の毛穴が開いたり、閉じたりが上手くできないことを表します。
(腠理の開闔 そうりのかいごう といいます)
体への異物や危険が近づいたときに皮膚を引き締めて、体内への侵入を防ぐことが出来ない状態です。
これと水分代謝と何の関係があるの?という疑問が出てくると思いますが大きく関係があります。
皮膚から水分が出ていき過ぎないようにしているのも重要な働きの一つになるためです。
皮膚と膀胱と腎臓と肺は密接に連携しながら体内の水分調整をしているんですね。
このタイプの方の治療としては
『腎を補って、心を瀉す』という方向で行います。
水分代謝の低下している方は胸部に熱を籠らせやすいので心もしくは心包を瀉すことが重要になります。
もちろん、大腸や胃など邪のある経絡は施術対象になります。
この場合は陽気を瀉した後に同じ、ツボを充分に補ってあげるといいでしょう。
衛気の補につながるためです。
続いて、『③気温や環境の変化に反応する蕁麻疹』です。
原因として考えられるアレルゲンが様々ですので最も難しい蕁麻疹です。
動物や薬品、化学物質、ダニなどどこにでもあるものに反応しますので東洋医学的にも特定が難しくなります。
そこでこういう方の治療をするときに初めに試していただきたい治療方針として『脾』をターゲットとして、組み立てていただくといいと思います。
体の調整作用や適応能力が低下しているために起こる現象ですのでそれを司る脾にアプローチすることで隠れているものが見えてきます。
実際の治療では
経絡を整えることはもちろんですが臍周辺の状態を確認して、補寫することで次の段階が見えてきます。
また、食養生を並行することで以外に次の段階が簡単に見えてくることも少なくありません。
いわゆる『自然の甘味』を使います。
季節の果物やサツマイモ、メープルシロップ、米飴などもいいでしょう。
はちみつは原料の花の種類によって、逆効果なものもありますのでテストには向きませんので避けた方が無難です。
次の段階が見えてきたら①②と同じようにアプローチしていけば、改善していきます。
蕁麻疹の相談は意外と多いので是非、覚えておいて実践してみてください。